はじめに:補助金・助成金の基本構造とプロモーション費用への適用
中小企業・小規模事業者が、販路開拓、生産性向上、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を目的としたプロモーション活動(ホームページ制作、パンフレット・チラシ等の紙媒体制作、動画制作など)を行う際、その費用を支援する補助金が主要な活用源となります。
助成金は主に雇用維持・労働環境改善に焦点が当てられるため、プロモーション制作費を直接対象とするケースは稀です。したがって、本ガイドでは、多岐にわたる販促活動費を包括的に支援する国の主要な補助金に焦点を当て、その具体的な活用方法と注意点を解説します。

I. プロモーション費用に活用できる国の主要補助金
ホームページ、紙媒体、動画制作といったプロモーション活動の費用を対象とする代表的な補助金として、以下の3つが挙げられます。
1. 🚀 小規模事業者持続化補助金
最も幅広い小規模事業者の販路開拓を支援する補助金であり、プロモーション費用の中で最も利用しやすい制度の一つです。
(1) 補助金の目的と対象事業者
- 目的:小規模事業者が作成した「経営計画」に基づき、地道な販路開拓や生産性向上のための取組を支援する。
- 対象:従業員数が、製造業その他:20人以下、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):5人以下、の小規模事業者(会社、個人事業主、特定非営利活動法人)。
(2) プロモーション費用への適用範囲
この補助金は、以下の経費項目を通じて、ホームページ制作、紙媒体、動画制作の費用を補助対象としています。
| 経費区分 | 適用されるプロモーション活動 | 留意点 |
| 広報費 | チラシ・パンフレット・ポスターなどの制作・印刷費、新聞・雑誌・ウェブ媒体への広告掲載費、看板設置費など。 | 新商品の発表、新サービスの導入など、販路開拓を目的とした広報活動に要する経費。 |
| ウェブサイト関連費 | ホームページ、ECサイトの制作・構築費、コンテンツ作成費、更新費、ドメイン取得費、サーバー利用費。 | 補助金交付決定後の発注・契約が必須。単なる企業情報掲載のみのウェブサイトは対象外となる可能性があり、販路開拓に直接結びつく機能(EC機能、予約機能など)が求められる。 |
(3) 補助率と補助上限
| 枠 | 補助上限 | 補助率 |
| 通常枠 | 50万円 | 2/3 |
| 特別枠 | 200万円(賃金引上げ枠など) | 2/3または3/4 |
【最重要留意点:ウェブサイト関連費の上限】
小規模事業者持続化補助金では、「ウェブサイト関連費」のみで申請することはできません。また、補助金総額の1/4が上限と定められています。
- 例:通常枠(補助上限50万円)で申請し、広報費(30万円)とウェブサイト関連費(20万円)で合計50万円の補助を申請する場合、ウェブサイト関連費は補助上限50万円の1/4にあたる12.5万円までしか認められません。この場合、ウェブサイト関連費として実際に補助されるのは12.5万円が上限となります。
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2. 💻 IT導入補助金
中小企業・小規模事業者が、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・生産性向上やDXを促進することを目的としています。
(1) 補助金の目的と対象事業者
- 目的:ITツールの導入による生産性向上、業務効率化、DXの実現。
- 対象:中小企業・小規模事業者等。
(2) プロモーション費用への適用範囲
この補助金で「ホームページ制作」や「動画制作」の費用を対象とするには、その制作物が「ITツール」として認定される必要があります。
- 対象となる可能性が高いケース(デジタル化基盤導入枠、セキュリティ対策推進枠)
- オンライン予約システム導入:予約管理機能を持つウェブサイトの制作。
- 顧客管理(CRM)/販売管理(SFA)システム:これらの機能を備えたプラットフォームとしてのウェブサイト構築。
- 対象外となる可能性が高いケース
- 単なる企業紹介ホームページ:業務プロセスを持たない、情報提供のみの静的なウェブサイト制作。
- 紙媒体(チラシ・パンフレット)制作費:これらはITツールではないため、対象外。
- 広報目的の動画制作費:動画制作単体ではITツールとして認められにくく、対象外。
【ポイント】
IT導入補助金は、事前に事務局から登録・承認されたITツールを導入することが要件です。制作会社が提供する特定のECパッケージやクラウドサービスの導入に限定されるため、汎用的なホームページ制作には不向きです。
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3. 🏭 ものづくり補助金(事業再構築・生産性向上枠)
革新的な製品・サービス開発や、生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備投資等を支援する補助金です。補助上限額が大きく、大規模な事業変革を目指す企業に向いています。
(1) 補助金の目的と対象事業者
- 目的:競争力強化と生産性向上のための革新的な設備投資などを支援。
- 対象:中小企業・小規模事業者等。
(2) プロモーション費用への適用範囲
ものづくり補助金の主要な経費は「機械装置・システム構築費」ですが、補助事業の成果(開発した新製品・サービス)を販売・提供するために必要な費用として、「広告宣伝・販売促進費」が認められる場合があります。
| 経費区分 | 適用されるプロモーション活動 | 留意点 |
| 広告宣伝・販売促進費 | 補助事業により開発した製品・サービスに関する |
- 展示会出展費用
- チラシ・パンフレットの制作、印刷費
- 広報用動画の制作
- ウェブサイトの制作、改修費 | * あくまで補助事業(新製品開発など)の成果を広報する目的に限定される。*この経費は、補助対象経費総額の1/4が上限と定められている(※公募回により変動あり)。* 単なる既存事業の宣伝広告費は対象外。 |
(3) 補助率と補助上限
| 枠 | 従業員規模 | 補助上限 | 補助率 |
| 通常枠・回復型賃上げ・雇用拡大枠など | 5人以下 | 100万円~750万円 | 1/2(小規模事業者は2/3) |

II. 補助金によるプロモーション活動の具体的な対象経費
補助金が適用されるプロモーション活動費は、「販路開拓」や「生産性向上」の目的が明確であることが共通の要件となります。
1. ホームページ・ECサイト制作関連
| 経費内容 | 補助対象となる条件 |
| 制作・構築費 | 新商品のECサイト、オンライン予約機能を備えたサービスサイトなど、具体的な販路開拓・販売促進に繋がる機能の制作費用。 |
| コンテンツ作成費 | ターゲット顧客層への訴求力を高めるための商品写真撮影費、原稿作成費、解説動画制作費(ウェブサイト関連費に計上)。 |
| システム利用費 | 1年分のドメイン取得費、サーバー利用費、ECプラットフォームの利用料など(補助金事業実施期間内に限る)。 |
【対象外となる経費の例】
- 補助事業と無関係の日常的なサイト更新費用。
- 汎用的な社内利用のソフトウェアライセンス費用。
- 単なる会社紹介、採用情報のみを目的としたサイト制作。
2. 紙媒体(チラシ・パンフレット)制作関連
| 経費内容 | 補助対象となる条件 |
| デザイン・印刷費 | 新商品・サービスの内容やメリットを顧客に伝えるための販促物(チラシ、パンフレット、ポスター)の企画、デザイン、印刷費用。 |
| 配布費用 | 制作したチラシ等の郵送費、ポスティング費用(※ただし、持続化補助金では広報費として認められるが、ポスティングの委託費用は対象外になる場合もあるため要確認)。 |
【対象外となる経費の例】
- 社名入りのカレンダー、タオルなどのノベルティグッズ制作費(販売促進につながりにくいため)。
- 社内規定集、名刺など、販路開拓に直結しない一般管理費。
3. 動画制作関連
| 経費内容 | 補助対象となる条件 |
| 企画・制作費 | 新製品・サービスの利用シーンや導入効果を分かりやすく伝えるプロモーション動画、ウェブサイト埋め込み用の製品解説動画の企画、撮影、編集費用。 |
| 出演料・撮影場所費 | 動画制作に必要なモデルの出演料、レンタルスタジオなどの場所利用費。 |
【対象外となる経費の例】
- 単なる採用活動や企業ブランディングのみを目的とした動画制作費。
- 補助事業期間外に利用する動画の権利関係費用。

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III. 補助金活用のためのフローと戦略的アプローチ
補助金を活用してプロモーション活動を行うには、計画的なアプローチが必要です。
1. 補助金選定と公募要領の確認
- 目的の明確化:
- 販路開拓が主目的(例:新サイトでの顧客獲得)なら持続化補助金。
- 業務効率化/DXが主目的(例:ECサイトによる受発注自動化)ならIT導入補助金。
- 大規模な事業変革に伴う販促(例:新工場で製造した商品のプロモ)ならものづくり補助金。
- 公募要領の確認:申請を検討している公募回(例:第16回持続化補助金など)の最新の公募要領を読み込み、対象経費、補助率、申請要件を厳密に確認する。
2. 事業計画の策定(採択の鍵)
補助金は「採点方式」であり、採択されるには「事業計画」の質が重要です。
- 課題と目標設定:現状の販路や生産性の課題を明確にし、「ホームページ制作によって売上を○%向上させる」など、具体的な目標を設定する。
- 補助事業の具体性:制作するウェブサイトやチラシが、どのようにして目標達成に貢献するのか(例:ターゲット層への訴求力、EC化による受注ミスの削減など)を具体的に記述する。
- 費用対効果:補助金を使用することで得られる経済効果を説明し、補助金が適切に活用されることを示す。
3. 実行と実績報告
- 交付決定を待つ:絶対に、交付決定通知を受け取る前に、制作会社への発注や契約を行わない(これが最も多い失敗原因)。
- 制作・支払い:交付決定後、事業計画に沿って制作会社に発注・納品・支払いを完了させる。
- 実績報告:補助事業完了後、領収書や納品書などの証拠書類を添えて、事業の実施内容と経費の支払いを事務局に報告する。
- 補助金の受領:事務局による検査(確定検査)が完了した後、補助金が指定口座に振り込まれる。
IV. 地方自治体独自の補助金・助成金
国の補助金に加えて、各地方自治体(都道府県、市区町村)が独自に設けている補助金も、プロモーション活動に活用できる可能性があります。
- 創業支援補助金:新規創業者がホームページやチラシ制作を行う際の費用を補助。
- 販路開拓支援事業:地元企業の展示会出展やカタログ制作などを支援。
- デジタル化推進補助金:DXを目的としたウェブサイト、クラウドサービスの導入費用を補助。
国の補助金と比べて補助上限額は低い傾向がありますが、申請が容易で採択率が高い場合もあります。所在地の自治体の商工課や中小企業支援センターに確認することが有効です。

まとめと次のステップ
ホームページ、紙媒体、動画制作といったプロモーション活動は、小規模事業者の販路開拓や生産性向上に不可欠な投資です。
これらの費用を補助金で賄うためには、単に「制作したい」という希望ではなく、「制作によってどのような経営課題が解決され、具体的な成果が得られるか」という事業計画の裏付けが不可欠です。
特に、小規模事業者持続化補助金は、ウェブサイト関連費に上限があるものの、チラシやパンフレット制作費を含む「広報費」と組み合わせて販促活動を一体的に支援する点で、最も汎用性が高いと言えます。
次のステップとして、ご自身の事業がどの補助金の対象になりそうか、最新の公募要領を検索・確認することをお勧めします。
*R7年度 小規模事業者・中小企業向け補助金スケジュール・詳しくはこちら
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