ホームページは、現代のビジネスにおいて「24時間365日働く営業マン」です。しかし、多額の投資をして雇ったはずの営業マンが、一歩も動かず、誰とも話さず、ただ給料(維持費)だけを食いつぶす「お荷物」になってしまうケースが後を絶ちません。
なぜ、多くの企業がホームページ制作で同じ過ちを繰り返すのでしょうか。本記事では、数々のプロジェクトの裏側を見てきた視点から、「制作・運用の失敗あるあるトップ10」を徹底解説します。
第1位:ターゲットと目的が「ふわっ」としている
「とりあえず格好いいサイトを」という動機で始めると、誰に何を伝えたいのかがボヤけます。
- 【実際にあった怖い話】 ある製造業の企業が、300万円かけて最先端のアニメーションを多用したサイトを制作しました。しかし、主要顧客である地方の工場のPCスペックでは動作が重すぎて表示されず、結局以前の古いサイトの方がマシだったという事態に。
- 失敗を回避するステップ: まずは「ペルソナ(詳細なターゲット像)」を設定しましょう。年齢、性別だけでなく、その人が「何に困って検索し」「自社のサイトでどの情報を得て」「最後に見積依頼のボタンを押すのか」というカスタマージャーニーを紙に書き出すことが重要です。
第2位:制作会社に「丸投げ」して関与しない
「プロに任せれば最高のものができる」という思い込みは、失敗への近道です。
- 【よくある症状】 出来上がったサイトのキャッチコピーが、どこかで見たようなテンプレート的な言葉ばかりになる(例:「誠実と信頼の技術」「お客様に寄り添う」など)。
- 対策: 制作会社は「表現のプロ」であって「あなたのビジネスのプロ」ではありません。強みの源泉、顧客の声、独自のこだわりといった「一次情報」は、必ず自社で提供する必要があります。
第3位:デザインにこだわりすぎて「使い勝手」を無視
見た目のインパクトを重視するあまり、ナビゲーションが複雑になったり、文字が小さすぎて読めなかったりするケースです。
- 【失敗のサイン】 「メニューボタンがどこにあるか分からない」という声。デザインの自己満足は、ユーザーの離脱を招くだけです。
- 対策: 「3クリック以内で目的のページに辿り着けるか」というアクセシビリティを重視しましょう。
第4位:スマホ対応(レスポンシブ)が不十分
現代のWebトラフィックの7〜8割はスマートフォンです。PC画面だけでチェックして満足してしまうのは致命的です。
- 【最新の注意点】 単に「映る」だけでなく、指一本で操作しやすいか、ボタン同士が近すぎないかといった「モバイルフレンドリー」の基準を満たしているかが重要です。
第5位:公開が「ゴール」になり、更新が止まる
「お知らせ」が数年前のまま放置されているサイトは、企業の信頼を著しく損ないます。
- 【現場の悲劇】 「夏季休暇のお知らせ(2021年度)」がトップページに居座っているサイト。これを見たユーザーは「この会社、営業してる?」と不安になり、競合他社へ流れていきます。
第6位:SEO(検索エンジン最適化)を無視した設計
どれだけ良いサイトを作っても、検索結果で見つけてもらえなければ存在しないのと同じです。
- 【よくある勘違い】 「会社名で出るから大丈夫」という考え。本来は「(サービス名)+(地域)」などの、まだ自社を知らない潜在顧客が検索するキーワードで上位に来る必要があります。
第7位:自社で更新できないシステム構成
少しのテキスト修正や画像差し替えのたびに制作会社へ依頼し、費用と数日の時間が発生するパターンです。
- 【コストの罠】 1箇所の文字修正に5,000円の費用と3日の納期がかかる契約。結局、修正が面倒になり、情報はどんどん古くなっていく悪循環に陥ります。
第8位:アクセス解析ツールを導入・活用していない
「なんとなく人が来ている気がする」では改善ができません。
- 【分析不足の結果】 どのページからユーザーが入ってきているのか、なぜ問い合わせ直前でやめてしまうのかが分からないため、次の打ち手がすべて「勘」に頼ったものになります。
第9位:著作権やセキュリティ・法規制への配慮不足
ネット上の画像を勝手に使ったり、SSL化(https)を怠ったりするケースです。さらに近年はCookie規制などのプライバシー対応も重要です。
- 【法的リスク】 「フリー素材だと思っていた」画像が実は有料で、数年後に著作権管理団体から数十万円の請求が来る。また、個人情報の取り扱いに関する規約が古いままなのも危険です。
第10位:予算配分のミス(制作費で使い切る)
制作に全予算を投入し、その後の広告費や保守運用費がゼロになってしまうパターンです。
- 【失敗の構図】 1,000万円かけて豪華な城(サイト)を建てたが、城までの道(集客)を整備する予算がなく、誰も来ない「陸の孤島」になる。
【業態別】よくある失敗の傾向
業態によって、陥りやすい「落とし穴」は異なります。
BtoB企業(企業間取引)の場合
- 失敗: カタログスペックばかり並べて、導入後のベネフィット(利益)が伝わっていない。
- 失敗: 担当者が上司に提出するための「稟議用資料(PDF等)」のダウンロード導線がない。
BtoC企業(個人向けサービス)の場合
- 失敗: 「おしゃれ」に寄りすぎて、価格や予約ボタンがどこにあるか一目で分からない。
- 失敗: ユーザーレビューや「お客様の声」などの信頼醸成コンテンツが不足している。
【リニューアル特有の罠】検索順位の暴落を防ぐために
既存サイトのリニューアル時には、さらに高度な注意が必要です。
- リダイレクト(転送)設定の漏れ: 旧サイトのURLが変更になった際、新しいURLへ自動転送(301リダイレクト)しないと、それまで蓄積したSEOの評価がリセットされてしまいます。
- ドメイン変更の安易な決断: 「心機一転、ドメインを変えよう」と安易に変更すると、検索エンジンからの評価をゼロからやり直すことになり、数ヶ月間アクセスが激減するリスクがあります。

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【解説】なぜ「保守管理費」が必要なのか?
制作後の見積もりに出てくる「月額数万円の管理費」。これが何に使われているか不透明だと感じる方も多いでしょう。適切な保守には以下の業務が含まれます。
- サーバー・ドメインの維持: サイトを動かす「土地」と「住所」の維持費。
- CMS(WordPress等)のアップデート: セキュリティホールを塞ぐために必須。放置するとサイトが改ざんされる恐れがあります。
- 定期バックアップ: 万が一の障害時に、データを数日前の状態に復旧させるために必要。
- 相談・サポート窓口: 操作方法が分からない時や、表示崩れが起きた際のスピーディな対応。
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*関連BLOGもご確認ください→ ウェブサイト保守管理プランのご提案:「安心」と「更新」で自社サイトを最善の状態に
失敗しないための「社内運用体制」の作り方
ホームページを放置しないためには、担当者のリソース管理が不可欠です。
- 「兼務」の限界を認める: Web担当者は本業(営業や総務)と兼務であることがほとんどです。無理な更新頻度を設定せず、「週に1回、30分の作業」からルーチン化しましょう。
- 投稿テンプレートの作成: 毎回白紙から文章を書くのは苦行です。「事例紹介テンプレート」「お客様の声テンプレート」などを用意し、埋めるだけの状態にします。
最新トレンド:AI利用と法的規制
2024年〜2025年にかけて、新たに注意すべきポイントです。
- AI生成コンテンツの注意点: AIが書いた記事をそのまま投稿すると、情報の正確性が欠けたり、Googleから「低品質なコンテンツ」と見なされるリスクがあります。必ず人間の専門家による「事実確認(ファクトチェック)」と「独自の見解」を加えてください。
- 外部送信規律(Cookie規制): 改正電気通信事業法により、解析ツールなどの利用についてユーザーに明示・公表する義務があります。これを怠ると、コンプライアンス上のリスクとなります。
制作会社選びの最終チェックリスト(7項目)
- [ ] ヒアリング時間は十分か?(こちらのビジネスを理解しようとしているか)
- [ ] 「できないこと」を伝えてくれるか?(何でもできます、は無責任な証拠)
- [ ] 過去の実績は「成果」に基づいているか?(デザインの好みだけで選ばない)
- [ ] 担当者と「共通言語」で話せるか?(専門用語ばかり並べる会社は注意)
- [ ] 見積もりの内訳が明確か?(「一式」で済ませていないか)
- [ ] 最新のセキュリティ知識があるか?
- [ ] 公開後の運用サポート(解析や改善提案)が含まれているか?
まとめ:ホームページは「投資」であり「生き物」である
ホームページ制作の失敗の多くは、技術的な問題よりも、「戦略不足」や「認識のズレ」から生まれます。
「作って終わり」の看板ではなく、「作ってから育てる」営業拠点として捉えること。この意識を持つだけで、あなたのホームページの成功確率は劇的に向上します。多額のコストを「浪費」にするか「投資」にするかは、事前の準備にかかっています。
株式会社イーネクスト:千葉県のホームページ制作会社
株式会社イーネクスト:千葉県のSNS・WEBマーケティング会社
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『私たちはお客様とともに未来を創造し、成長できる存在でありたい。』
千葉県市川市を拠点に、ウェブサイト(ホームページ)制作・SEO対策・MEO・SNS・WEBマーケティングを通じて「ウェブサイトにしっかり働いてもらう」支援を行っています。
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